人ごとではございません。離婚とお金。

現代では離婚も再婚も珍しくない世の中になりました。厚生労働省のデータによりますと、2021年の婚姻数は50万1116件(過去最多は1972年109万9984件)、離婚数は18万4386件(過去最多は2002年28万9836件)でした。

注目すべきは、同居年数20年間以上の夫婦の熟年離婚が38968件(全体の約21%)もあることです。これは人ごとではありません。色んなお金の問題が発生するのです。今回は離婚に関わるお金についてです。

財産分与

原則として対象となる財産は「夫婦で築いた共有財産」となります。つまり結婚前に自分で築いた財産(特有財産)や自分の親からの相続財産は対象外です。

では、「結婚後に自分で築いた財産(例えば給料)」も全て対象外かというと、そうではありません。配偶者の内助の功により築いた財産は共有財産となります。尚、協議離婚が成立せず家庭裁判所に訴える場合、請求期限は離婚の時から2年間となります。

養育費

家庭裁判所が活用する養育費算定表を用いることが多いです。例として、算定表2019年版によると、夫年収600万円・妻年収250万円・子1人(15歳未満)の場合、養育費の月額は4~6万円となります。

年金分割

合意分割と3号分割の2つがあり、どちらも婚姻期間中の厚生年金部分が対象です。請求期限は離婚の翌日から2年間です。

合意分割

婚姻期間中の相手方の加入厚生年金部分が分割対象となり、合意の上で分割割合を決めます(最大50%)。あくまでも合意に基づくもので任意です。

3号分割

分割請求者は婚姻期間中に国民年金第3号被保険者(専業主婦・主夫)であった期間(但し2008年4月以降の期間)がある者であり、その期間に対する相手方の厚生年金加入部分の2分の1を請求できます。合意は不要の制度です。

住宅ローン

ペアローンによる共有名義、単独名義でも配偶者が連帯保証人あるいは連帯債務者となっていると問題が複雑になります。特にペアローンは双方が合意しないと売却できません。

つまりお金に出来ません。売却や手元現金によりローンを完済しない限り、離婚後でも当然に返済や保証の義務は残ります。他にも、離婚後にローン返済者ではない方が住み続ける場合。出て行ったローン返済者がローンを支払わないと抵当権が実行されてしまいます。ローンの支払いや名義についての合意を公正証書にするのが良いでしょう。ケースによっては金融機関との調整も必要になります。

老後対策

再婚をしない場合、老後は身体の衰えや病気、認知症などのリスクにより、日常生活および経済活動が制限される可能性が多々あります。この対策としては、任意後見・家族信託・事務委任契約(生前・死後)の活用が考えられます。何にどの位お金が掛かるのかを試算しましょう。また、行政による各種支援制度と社会保障制度の情報収集も大切です。

相続

子がいる場合です。離婚してもその子は元配偶者の相続人です。しかし、元配偶者が再婚すると相続人の数が増えます。再婚相手との間で子が生まれれば更に相続人が増えます。つまり、争族になる可能性が出てきます。遺言書を書いてもらうのが良いでしょう。

生命保険

保険金受取人・指定代理請求人の変更を忘れずに手続きしましょう。特に指定代理請求人の変更は忘れがちです。<余談:もし偽装離婚をすると?>世の中には偽装離婚を企てる良からぬ人もいます。借金から逃れるため(財産隠し)です。

昔バブル崩壊後に、この手の話がよく世間で聞かれていました。しかし、世の中そんなに甘くはありません。民法424条には「詐害行為取消権」という債権者を守る法律が定められております。悪いことはやめておきましょう・・・

FPと自治体の活用

離婚には様々なお金の問題が関わります。これは年齢や家族構成、財産構成により着目点が異なり、個人で精査するのは中々難儀です。離婚に詳しいFPへの相談は有効です。FPを通して自治体の支援情報と社会保障制度も併せて確認すると一石二鳥です。

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