自筆証書遺言の弱点対策。法務局の遺言書保管制度

最近遺言書を作成する人が増えています。例えば公正証書遺言を作成した人は、日本公証人連合会のデータによると、2019年時点で10年前の1.38倍にも増えています。手間と費用が掛かるにも関わらず。つまり、それだけ遺言に対するニーズが急激に増えているのです。

では、自筆証遺言はどうでしょうか?こちらは自己作成・自己保管の為、作成件数データが有りません。しかし、自筆証書遺言は今後増えると予想されます。なぜならば、法務局による自筆証書遺言の保管制度が出来たからです。その理由と制度概要を解説致します。

自筆証書遺言とは

一般的な遺言方式は3つあります。公正証書遺言・秘密証書遺言・自筆証書遺言です。

  • 公正証書遺言
    専門家の公証人が2人以上の証人立会いの下、遺言を作成し原本を公証役場で保管します。 内容・保管共に一番安心できます。遺言者死亡後の、家庭裁判所による遺言書の検認が不要です。弱点は、他人に遺言内容が知られること・3つの遺言方式の中で費用が一番掛かることです。
  • 秘密証書遺言
    自分で遺言を作成して封等に入れ、2人以上の証人が立会いの下公証人に渡します。遺言書は自分で書き、封筒に入れてから公証人に渡すので、遺言内容は他人に知られません。弱点は、遺言を専門家ではなく自分が作成する為、遺言内容が無効になる恐れ、遺言書の保管が自己責任の為、紛失・隠蔽・改ざん等のリスク、遺言者死亡後の、家庭裁判所による遺言書の検認が必要なことです。
  • 自筆証書遺言
    自分で遺言を作成して、自分で保管します。遺言者死亡後の、家庭裁判所による遺言書の検認が必要です

自筆証書遺言のメリット

前述の通り、非常にシンプルです。遺言を、誰にも見られず・誰にも知られず・費用も掛からない。公証役場に行く手間もかからない。いつでも自由に出来ます。

自筆証書遺言の弱点

遺言を専門家ではなく自分が作成する為、遺言内容が無効になる恐れ、遺言書の保管が自己責任の為、紛失・隠蔽・改ざん等のリスク、遺言者死亡後の、家庭裁判所による遺言書の検認が必要なことです。

この様に、自筆証書遺言には多数メリットがある反面、秘密証書遺言と並ぶ弱点もあります。しかし、紛失・隠蔽・改ざんについては、秘密証書遺言は封印をしてから公証人や証人の署名・捺印がされるので、自筆証遺言の方がリスクは高くなります。

自筆証書遺言書保管制度の概要とメリット

  • 概要
    正式名称は<自筆証書遺言書保管制度>です。管轄は法務局で、2020年7月10日~この制度が開始されました。自筆証書遺言書を原本は50年間、画像データは150年間保管されます。
    手続きと保管される場所は、法務局の<遺言書保管所>というところで、全国各所に多数あります。注意点は、最寄りの何処の法務局でも手続き出来て保管されるのではなく、遺言書保管所です。手続きは、所定の遺言書保管所に来庁して、自筆証書遺言書と申請書等の必要書類を提出します。あくまでも、自筆証書遺言の保管ですので秘密証書遺言は対象外です。
  • メリット
    紛失・隠蔽・改ざんのリスクが無くなります。費用が、遺言書1件につき3,900円と非常に安いです。保管中に遺言内容を変更したいときなどは、保管の撤回手続きにより遺言書を返してもらえます。
    遺言者死亡後の、家庭裁判所による遺言書の検認が不要です、事前に死亡通知手続きをしておけば、自分の死後に法務局より、あらかじめ指定した1名に死亡通知がされ、遺言書の存在を知らせることが出来ます。

注意!!保管制度にも弱点はある

制度の名の通り、やってもらえることは<保管>です。遺言内容についてはチェックされず、相談にも応じてもらえません。つまり、保管制度により紛失・隠蔽・改ざんのリスクが無くなっても、遺言内容の不備により

遺言が無効になる恐れというリスクは排除できません。遺言は、その様式が法律で厳格に定められており、何でも自由に書けるものではないからです。

折角の良い制度を無駄にしない為にも、自筆証書遺言を作成するときは専門家等に相談する事をお勧めします。自筆で作成する必要はありますが、専門家等に相談することは問題ありません。

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