不動産登記にご用心。放ったらかしはいけません

登記は購入・売却のときだけ?

不動産の登記を放ったらかしにいていませんか?不動産登記は購入した時以外でも、必要なことが多々あるのです。これをやらないと結構大変な目に遭います。しかし、この結構大変な目に遭っている人が沢山います。なぜか?

  • 購入した時は、不動産会社や建築会社が司法書士を手配して登記することが通例です。しかし、その後は自己責任なので登記すべきときに気付かないのです。
  • 登記義務が無いものがあるので、登記できることに気付いていても登記しない。通常、義務の有無と必要の有無は重なります。しかし、不動産登記については違うのです。

これらにより、今日本で何が起きているか?所有者不が不明の土地を全て合わせると、何と九州の面積を超えてしまうのです。原因の約2/3は相続登記の未了です。そこで、国はいよいよ動き出しました。法改正です。

登記法改正

きっかけの1つは、あの東日本大震災です。自治体が街を再興する為に、多くの土地所有者との協議が必要でした。しかし、所有者が不明な土地が多数あり、かなりの時間と労力を強いられたのです。他にも震災により崩れた土地の境界確定もありました。これでは良くないということで、

兼ねてより問題となっていた所有者不明土地や空家問題を解決するべくメスを入れたのです。今回義務化される登記は2つです。

  • 相続登記:相続により不動産を取得したときのものです。2024年迄に施行開始です。相続により取得したことを知った日から3年以内の登記義務があります。義務違反者へは10万円以下の過料が課せられます。
  • 住所氏名変更登記:引越し、婚姻、離婚が関係したものです。2026年迄に施行開始です。変更後2年以内の登記義務があります。義務違反者へは5万円以下の過料が課せられます。

必要な変更登記

前項の法改正に関わらず、以下はやっておくべき登記です。<相続、住所変更、結婚・離婚による改姓、抵当権抹消、権利が消えた買戻し特約の抹消>これらは今迄登記義務がありませんでした。法改正により今後義務化されるのは一部です。

よって、今後法改正したからといって全て解決するわけでは無いのです。だから、自己責任で義務の有無に関わらず変更登記はするべきです。

変更登記しなかったことが原因のトラブル例

  • ある日地方の司法書士より手紙が来ました。「親族の一人である高齢者が自宅を相続しました。相続を放棄してくれませんか」という内容です。何のことか解らずよく手紙を読むと、前所有者がずっと相続登記をしないまま亡くなり、今回の相続が発生しました。

    その間、その自宅に関する相続権を持つものが複数人生まれ、逆に亡くなった人もいるので、その子がまた新たな相続権を取得。手紙に記載された高齢者の自宅に、相続権を持つこれら全ての人が相続放棄をしないと、その高齢者は安心して自由に住めないということです。

    同封された家系図に記載された高齢者の名前をみると、会ったことも聞いたこともない親族でした。
  • ご主人が無くなり、奥様は自宅を相続しました。登記簿を見ると、かなり昔の抵当権が記されていました。「あれ、ローンはとっくに完済したのに。何で?」ローン完済後に抵当権の抹消手続きをしていなかったのです。通常、奥様は相続した自宅に住み続けることが多いです。

    やがて亡くなり、自宅は子供に相続されます。この場合、昔と異なり子供がその家に住むことは少なく、売却します。しかし、いくら実態がローンを完済済みでも抵当権が記載されていると売却できません。

    さあ、大変です。抹消するにはローン完済時に金融機関から送付された弁済証書(借入金が完済されたことを証する書類)が必要です。どこにあるのか?金融機関への再発行手続きは?売却できるのか?

他にも多数ありますが、どれも時間と労力と費用が掛かります。その為に売却など本来の目的遂行が困難になります。大事な財産を守るために、法的義務に関わらず登記には注意しましょう。

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